X線の積算エネルギーと光子単位のエネルギー情報を、一つのセンサーで取得する。ソニーセミコンダクタソリューションズのX線CMOSセンサーIMX711は、高速読み出しで電荷の飽和を抑え、低ノイズ化で弱いX線の検出精度を高めたという。
X線を直接検出し、エネルギーを信号に変える
検査・計測機器向けX線CMOSセンサーIMX711は、X線を直接検出し、そのエネルギーに比例する信号を出力する。ソニーセミコンダクタソリューションズが採用した電荷積分方式は、光子が持つエネルギーを積算して読み出す方式だ。
従来の電荷積分型では、弱いX線を測る際にノイズが測定精度を下げていた。一方、しきい値に基づいて光子を数える光子計数型では、X線が強くなると一部の光子を正しく数えられない場合がある。
毎秒26,100フレームで蓄積電荷を減らす
強いX線に対しては、電荷を蓄積してから読み出すまでの間隔を短くする。IMX711の公開仕様では、Mode-Aで全画素を最大毎秒26,100フレームで読み出すことができる。
ソニーセミコンダクタソリューションズによると、独自の回路技術による高速撮像で、1フレーム当たりの蓄積電荷を減らしたという。これにより、従来センサーより電荷の飽和を抑える特性を実現したとしている。
34 e-rmsの低ノイズ化で弱い信号を捉える
弱いX線の検出を支えるのは、ランダムノイズの低減だ。ソニーセミコンダクタソリューションズの評価では、内部動作温度20℃以下の環境で、有効領域内の画素平均のノイズが34 e-rmsとなった。これは電子約34個分に相当するノイズの実効値で、機能保証値は60 e-rmsである。
高速読み出しによる飽和の抑制と低ノイズ化を組み合わせ、明るさの差が大きい条件での測定に対応する。ソニーセミコンダクタソリューションズは、従来センサーでは難しかった広いダイナミックレンジでの積算X線エネルギー測定と、光子単位のエネルギー情報取得を、一つのセンサーで両立したとしている。
取得後にエネルギーと位置を組み合わせる
光子のエネルギー情報は、しきい値を事前に設定せずに取得することができる。ソニーセミコンダクタソリューションズは、読み出し時のノイズと信号のばらつきも抑え、光子のエネルギー差を識別する高いエネルギー分解能を実現したとしている。
取得した全画素の測定データは、後処理で空間情報と組み合わせることができる。また、特定のエネルギーに対応するデータを抽出することも可能で、取得後に条件を変えてデータを処理できる。