Semiconductor

画像AIとリアルタイム制御を1チップに統合したプロセッサーRZ/V2H

この記事のポイント

  1. 実現したこと

    プロセッサーRZ/V2Hは、画像AIとリアルタイム制御を単一チップで扱うことができる。

  2. 実現の仕組み

    AIアクセラレーターDRP-AI3は、プルーニング技術で計算効率を高め、最大80 TOPSの推論性能を実現するとルネサスは説明している。

  3. 得られた結果

    画像処理用のOpenCV Acceleratorは、CPU処理比で最大16倍に高速化するとルネサスは説明している。

  4. 従来との違い

    AIアクセラレーターの電力効率は従来モデルの10倍となる10 TOPS/Wに向上したとルネサスは説明している。

明るい廊下をカメラで捉える小型移動ロボットと、手前に描かれた汎用プロセッサー搭載基板。壁や床の輪郭線がVisual SLAMによる空間把握を示す。
AI生成画像

画像AI向けの演算回路とリアルタイム制御用のCPUコアを、マイクロプロセッサーRZ/V2Hが単一チップに統合した。Linuxアプリケーションの処理も担い、クラウドに依存しないロボットの画像AI処理に対応する。

Linux処理とリアルタイム制御に別々のCPUコア

ルネサス エレクトロニクスが製品化したRZ/V2Hは、画像AIとリアルタイム制御を一つのチップで扱うマイクロプロセッサーだ。Linuxアプリケーション用には、最大1.8 GHzで動作するArmのCortex-A55を4コア搭載する。

リアルタイム処理は、800 MHzで動作するCortex-R8の2コアが担う。さらにCortex-M33をサブコアとして1コア搭載し、用途の異なる処理を同じチップに収めている。

DRP-AI3が推論性能と電力効率を高める

画像AIの計算には、AIアクセラレーターDRP-AI3を搭載する。ルネサス エレクトロニクスは、プルーニング技術によって計算効率を高め、AI推論性能を最大80 TOPSに引き上げたとしている。

電力効率は10 TOPS/Wで、従来モデルの10倍になったという。この推論性能によって、画像AIアプリケーションをクラウドに依存せずエッジ機器で処理できるとしている。

画像処理の高速化を自己位置推定と地図作成へつなぐ

AI推論に加え、画像処理ライブラリーOpenCVの処理には専用のOpenCV Acceleratorを用いる。ルネサス エレクトロニクスは、動的に再構成できるプロセッサー技術DRPを適用し、CPU処理比で最大16倍に高速化するとしている。

この画像処理用アクセラレーターとDRP-AI3の組み合わせは、Visual SLAMの電力効率のよいリアルタイム実行に対応するという。Visual SLAMは、搭載カメラの画像から自己位置を推定しながら周囲の地図を作成する技術だ。

学習済みモデルを評価ボードで動かす

ルネサス エレクトロニクスは、用途別の学習済みモデルを収めたライブラリーAI applicationsと、AIアプリケーション開発用のAI SDKも公開した。これらをRZ/V2Hの評価ボードで動かすことで、設計の早い段階からAIアプリケーションを評価できる。

モデルと開発キットを使うための評価環境も、プロセッサーとともに提供されている。RZ/V2H、評価ボード、AI SDKは2月29日に提供が始まった。